若き4人のスピード感あふれる痛快なアンサンブル
桃栗三年柿八年…。フォー・タイムズ・バロックはもう7年…。待望の初来日。
メンバー全員まだ20代後半ではあるものの、すでにこのメンバーで十分演奏を重ねてきただけに、パフォーマンスの密度とテンションの高さはさすがの4人だ。
激しさもあるし、表現の貫きや意思の強さにおいては確固たる方向性も際立っている! 役割と個性がハッキリした4人編成からしてビートルズも彷彿とさせるような雰囲気。そう、これぞバロックと言うよりはロックと表現したほうが良いかもしれない。
その真骨頂は、やはりテレマンのトリオ・ソナタだろう。リコーダーとヴァイオリンがソロをつとめ、チェロとチェンバロが通奏低音を重ねる彼らのスタイルの基本がここにある。彼らの演奏は、開始と同時に「風」が吹く。疾風のようなスピード感に加えて強拍によるアクセントもしっかり効かせて、多彩な音のニュアンスも存分に散りばめてくれる。
それぞれのテクニックも確固たるものがあって、いわゆる超絶技巧のフレーズなどもゴリゴリに弾き散らすのではなく、あくまで愉悦に満ちた響きになるのが素晴らしい。ヴィヴァルディやコレッリなどのイタリアものでも、即興や装飾に4人のセンスの良さが十分に感じられて、これまた愉快、痛快の連続。
彼らの音楽を真に楽しむにはライブは極めて重要な要素で、聴衆と演奏の一体感の中で次々に湧きおこるファンタジーが一期一会の演奏を創るに違いない。あぁ、生で聴きたい!
文:朝岡 聡
(ぶらあぼ2020年10月号より)
*新型コロナウイルスの感染拡大に伴う渡航制限によりアーティストが来日できなくなったため、本公演は中止となりました。(9/15主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2020.10/27(火)19:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
https://www.ojihall.jp