オーケストラ作品の金字塔をコンパクトな編成で聴く
創意に溢れた魅力的なプログラムで毎年人気のトッパンホール・ニューイヤーコンサート。2014年も、「室内楽ホールで2大オーケストラ曲を聴く!」という実に興味深いテーマが掲げられている。プログラムは、ホルストの組曲「惑星」とストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」。この壮麗な2大傑作を結ぶキーワードは「メモリアル・イヤー」だ。前者は100年前に作曲が開始され、後者は今年がちょうど初演から100年目ということで話題になっている。
前半の「惑星」は、サックス界の巨匠・須川展也が率いるトルヴェール・クヮルテットと小柳美奈子のピアノによる五重奏版で演奏。注目なのは、単にサックス・アンサンブルのための甘美な編曲というだけでなく、編曲者の長生淳が新たに作曲した「彗星」「冥王星」「地球」が加えられていること。また、おなじみの「木星」の冒頭にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」の旋律が現れるのも聴きどころだ。
そして後半の「春の祭典」は、作曲者自身の編曲で、原曲に極めて近いと言われる2台ピアノ版による演奏。不協和音や変拍子が複雑に絡み合うため、高い技術と完璧なアンサンブルが求められるこの難曲に挑むのは、永野英樹と金子三勇士だ。永野の経験や柔軟性と、金子の瑞々しい感性。2つの才能がタッグを組むことで、初演当時の賛否両論の興奮の渦を再現するだけでなく、作品の新たな魅力も引き出してくれるに違いない。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2013年12月号から)
★2014年1月9日(木)・トッパンホール Lコード:35954
問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
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