ロンドン交響楽団 ブラス・クインテット

高貴で眩いブリティッシュ・ブラスに浸る!

(C)Kevin Leighton
(C)Kevin Leighton

 ノーブルでブリリアントでパワフル! それがロンドン交響楽団ブラス・クインテットだ。
 イギリス最高峰楽団の精鋭ゆえに上手いのは当たり前だが、この国のブラスには特別な伝統がある。ひとつは各地で盛んな英国式ブラスバンド。金管だけの同形態が強固な下地を形成している。もうひとつは、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル(PJBE)がもたらした絶大な成果。英国ブラス界には同分野の開拓者たる彼らの血が脈々と流れている。さらにロンドン響には、『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』等のサウンドトラックにおける華麗なブラス演奏の歴史もある。つまり彼らは、こうした伝統の継承者として頂点に立つ存在なのだ。
 メンバーは、P.コブ、N.キートリー(トランペット)、T.ジョーンズ(ホルン)、D.ブライト(トロンボーン)、P.ハリルド(テューバ)の5名。内4名がロンドン響の首席奏者、つまり全パートに首席が並ぶ豪華版だ。中でも、元ウィーン・フィル首席バウスフィールドの師匠ブライトのジューシーなテナー・トロンボーン、PJBEの名手フレッチャーの同楽団における後継者ハリルドの暖かなテューバは特筆もの。バッハの「トッカータとフーガ」に始まり、エヴァルド、クーツィール、クレスポなどクインテットの定番曲が続くプログラムも、王道の風格を感じさせ、そこにブライトの「ブラス・オン・ブロードウェイ」が、楽しみな彩りを添える。
 2010、12年の来日で絶賛された彼らがさらに緊密度を増して登場する今回、そのジェントルで光輝なサウンドに触れない手はない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2013年12月号から)

★2014年1月8日(水)・紀尾井ホール Lコード:35947
 9日(木)・名古屋/三井住友海上しらかわホール Lコード:43428
 10日(金)・大阪/いずみホール Lコード:52051
問 カジモト・イープラス0570-06-9960
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