アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2020-2021 後期 Vol.1 長谷川陽子(チェロ) & 加羽沢美濃(ピアノ) デュオ・リサイタル

真摯で温かい“想い”をこめた心に寄り添うリサイタル


 チェリストの長谷川陽子は、2017年にデビュー30周年を迎えた。近年ますます音色が深みを帯び、レパートリーや活動の幅もさらに広がっている。日本を代表する奏者として揺るぎない存在感を見せ、常に第一線で活躍する長谷川。温かいキャラクターでも多くのファンに愛されており、今年もさまざまな場で彼女の演奏を聴けるはずだったが、世界中に大きな苦しみを与えている新型コロナウイルス感染症の影響で、いくつもの公演が延期や中止となってしまった。

 そのような状況下で、非常に嬉しい演奏会が決定した。美しく、心に温かく寄り添う名曲たちを集めたリサイタルだ。ショパンや吉松隆、さらには映画やミュージカルの音楽など、長谷川の幅広い音楽性だからこそ可能な、多様性に溢れたプログラムである。共演は作曲家としてもピアニストとしても大人気の加羽沢美濃。加羽沢の奏でる美しく優しい響きが長谷川の凛とした音色と重なることで、非常に心を揺さぶるリサイタルとなることは間違いない。当日は加羽沢のオリジナル作品や編曲作品が演奏されるのはもちろん、リクエスト・コーナーも設けられる。親密な空気の流れる演奏会となりそうだ。

 世界的に苦しい状況が続き、人間の弱さや無力さを現実として突き付けられてしまう今、真摯で温かい“想い”を大切にしたこのリサイタルが多くの聴衆の心を救ってくれることだろう。音楽の力を改めて実感する時間となりそうだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年9月号より)

2020.10/21(水)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
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