小島弥寧子は武蔵野音大大学院などに学び、欧米で腕を磨き、国内外で活躍する実力派オルガニスト。今回の録音は、軽井沢の小ホールに設置された古様式の楽器を弾き、17世紀スペインの作品を大枠に、国際的に活躍する作曲家、柿沼唯による「6つのプレリュード」などを挟み込んだ、興味深いラインナップで臨んだ。本来はチェンバロのために書かれたという柿沼の作品。同じ鍵盤楽器ながら、減衰音ではなく、オルガンの持続音によって、いっそう“浮力”を得たよう。ふわりと舞い上がり、古の作品の柔らかな色彩とも溶け合って、聴く者を未知の響きの世界へといざなう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2020年9月号より)
【information】
CD『星月夜/小島弥寧子』
コレア・デ・アラウホ:第7旋法による高音部のソロのティエント、陽気な羊飼い、第2旋法によるティエントとディスクルソ/柿沼唯:6つのプレリュード、星/ティトゥルーズ:めでたし海の星/ブルーナ:第1旋法による右手のティエント
小島弥寧子(オルガン)
レグルス
RGCD-1050 ¥2900+税