フランス・バロックに興味のある方は決して聴き逃せない一枚だろう。辺保陽一、トーマス・バエテ、郡司和也という当代きっての名手たちが奏でるは、ルイ14世〜オルレアン公フィリップ〜ルイ15世の時代にパリで出版された音楽。と言っても普通に知名度があるのはマレの作品くらいなもので、他は世界初録音となるアンドレ・ル・サック、ジャック・オーベールをはじめなかなかにマニアック。フランス的な典雅さとイタリア・バロック的な華やかさの混合が誠に興味深い。演奏は3人とも最高レベルだが特に辺保の滑らかな技巧が光る。最後のルベルを聴いていただきたい。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2020年8月号より)
【information】
CD『パリの悦び―オルレアン公フィリップのフランス・バロック音楽―/辺保陽一&トーマス・バエテ&郡司和也』
アンドレ・ル・サック:組曲第1番/バリエール:クラヴサン・ソナタ第3番/オーベール:ヴァイオリン・ソナタ第4番/ボワモルティエ:組曲第5番/マレ:サント・コロンブ氏への追悼曲/ルベル:ソナタ第11番「煌めき」 他
辺保陽一(リコーダー)
トーマス・バエテ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
郡司和也(チェンバロ)
コジマ録音
ALCD-1191 ¥2800+税