ニコラス・ナモラーゼ ピアノリサイタル2020 クラシック再構築 op.2

独自の視点から音楽史を俯瞰するプログラミング

C)Nathan Elson

 2018年のカナダ・ホーネンス国際ピアノコンクールの覇者、ジョージア出身でハンガリーで研鑽を積んだニコラス・ナモラーゼは、とてつもなく個性的で才能豊かなピアニストである。同コンクールは参加者に自主的なプログラム構成を課し、インタビューを録画するなど、これも他と異なる。ナモラーゼは1992年生まれ。ジョージアが生んだ偉大なピアニスト、エリソ・ヴィルサラーゼらに師事し、作曲家としても活躍。コンサートではバロックから現代作品までユニークな選曲を披露する。 

 今回はJ.S.バッハとスクリャービンを主軸に、その間にそれぞれから影響を受けた作曲家の作品と自作を組み入れて聴き手の想像力を喚起し、偉才ぶりを発揮する。ジョージア出身のピアニストの演奏には、全編に祖国の特徴である歌心がちりばめられている。ナモラーゼも超絶技巧をごく自然に聴かせ、21世紀の新たなピアニストの出現を示唆するが、その奥には「心の歌」が存在する。その真意を聴き取りたい。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2020年5月号より)

*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は中止となりました。
振替公演についての詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2020.6/6(土)14:00 トッパンホール
問:アイエムシーミュージック03-6907-2535
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