ゴウ理紀也(ヴァイオリン/マルメン弦楽四重奏団)

2つの国際コンクールを制した才気あふれるクァルテット

左より:ステファン・モリス、ブライオニー・ギブソン=コーニッシュ、ヨハネス・マルメン、ゴウ理紀也
C)Marco Borggreve

 2019年6月にフランスのボルドー、9月にカナダのバンフと、トップクラスの国際弦楽四重奏コンクールで連続優勝を果たし、いま最も勢いのある若手団体の筆頭格と言えるのが、イギリスを拠点とするマルメン弦楽四重奏団である。今夏にはボルドーの「優勝記念ツアー」として初来日し、彼らならではのライヴ感あふれる鮮烈な演奏を聴かせてくれる。

 第2ヴァイオリンを担当するゴウ理紀也は、母親の故郷鹿児島で育ち、10代からは父親の故郷イギリスのメニューイン音楽学校、英国王立音楽大学卒業という俊才。穏やかで真摯な語り口ながら、「僕は完全に鹿児島の人間です。東京は都会すぎて」と笑顔を見せる。

「早いうちからアンサンブル志向で、留学時にも室内楽に関心がありました。幸いイギリスでは学生でも室内楽公演ができる仕組みがあり、積極的に経験を積むことができました」

 「マルメン」は王立音楽大学で出会ったメンバーで結成、「4人が違う出身地や文化で育って、個性や考え方の違いがあるのが面白さにつながっている」という。彼らの名を広く知らしめたボルドー国際コンクールの選考方法は特殊で、あらかじめ事務局が若手6団体を選び、なんと3回ずつのフルコンサートを行い、それらすべてが審査対象となる。

「イギリスで演奏経験を重ねながら、お客さんと一緒に演奏を作るという感覚ができていましたので、コンサートとして楽しんでいただく選考方法は強みと思っていました。それまでの積み重ねが間違っていなかった成果と思い、優勝は本当に嬉しかったです」

 彼らが第一生命ホールで披露するのは、ハイドン第44番(op.50-1)、リゲティ第1番「夜の変容」、メンデルスゾーン第6番。ボルドーの初日と同じプログラムで、優勝の熱気の一端を体感できる。

「僕たちはシェフがメニューを作るような感覚で、コンビネーションを考えてプログラムを組みます。今回の3曲でいえば、西洋音楽での弦楽四重奏曲はハイドンから始まって、その発展はリゲティで一旦終わりを迎えたようにも考えられます。メンデルスゾーンはロマン派の王道といえるすばらしい曲。古典、現代、ロマンと楽しんでいただければ」

 ツアーについて「日本はヨーロッパに比べると室内楽公演が少ないようで、その面白さをもっと多くの人々に知ってもらいたい」と意気込むゴウ。笑顔の絶えない彼が、クァルテットをやる楽しさと厳しさについてはこう語ってくれた。

「各人の表現力を高めるため、練習ではお互いプレッシャーをかける面もあります。それでもコンサートでお客さんが喜んでくれたときの嬉しさは比類がありません。ただ、クァルテットにあこがれている人には、“夢のままにしておいた方がいいよ”と言っています(笑)」
取材・文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年5月号より)

*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は中止となりました。
振替公演についての詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

ボルドー国際弦楽四重奏コンクール2019優勝記念ツアー マルメン弦楽四重奏団
2020.6/28(日)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
http://www.triton-arts.net

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