高崎芸術劇場 音楽ホール 2020年度前期ラインナップ

極上の音楽空間に、多彩かつ豪華なアーティストが続々登場


 昨年9月にオープンした高崎芸術劇場は、様々な舞台芸術に対応した同市の新たな文化創造の場。中でも400席の音楽ホールは、優れた音響、木の温もりに包まれた親密な空気感、そして大物アーティストの相次ぐ出演で話題を呼んでいる。2020年度前期のラインナップも多彩かつ豪華。ここではその概要をご紹介しよう。

 幕開けの4月は「児玉桃(ピアノ)とヨーロッパの仲間たち」。まずは、豊かな表現力で魅了する国際派・児玉桃がフランスの名手たちと同国の名品を奏でる。リヨン管のコンサートマスター、ジェニファー・ギルバートらが生み出す精緻なアンサンブルと、フランスの香り豊かな音楽は他に得難いもの。特にメシアンの「世の終わりのための四重奏曲」では、作曲者から助言を得たクラリネット奏者フランソワ・ソゾーの妙演に期待が集まる(4/17)。

 5月は「ファジル・サイ ピアノ・リサイタル」。今度はトルコ生まれのボーダーレスな鬼才が鮮烈なピアニズムを披露する。作曲家としても名高い彼の自作自演はむろん唯一無二の聴きもの。さらにベートーヴェンのソナタ全集をリリースしたばかりの彼が弾く「悲愴」「月光」では、両名曲の清新な姿に耳を奪われること必至だ(5/5)。

 5月には「ミッシャ・マイスキー(チェロ)&スペシャル・カルテット」もある。世界のトップ・チェリストが、﨑谷直人、瀧村依里(以上ヴァイオリン)、横溝耕一(ヴィオラ)、富岡廉太郎(チェロ)という精鋭たちとおくる、まさに“スペシャル”な公演だ。マイスキーの雄弁なソロ&協奏曲とシューベルトの傑作・弦楽五重奏曲を堪能できる多角的なプログラムも実に嬉しい(5/28)。

 6月は「小松亮太 バンドネオン・カルテット」。日本の第一人者・小松亮太をはじめとする4人のバンドネオン奏者が集った、これまたスペシャルな企画が実現する。コントラバスとギターを加えたメンバーは、タンゴの達人ばかり。2021年に生誕100年を迎えるピアソラ作品や「ラ・クンパルシータ」等の名曲が並んだ魅惑のプロで、当ジャンルの真髄を堪能させる(6/6)。

 7月はブラスのトップ・グループが続く。最初は「ベルリン・フィルハーモニー・ホルン・カルテット」。世界最高峰オーケストラのホルン・セクションがその凄さをリアルに伝えてくれる。首席奏者シュテファン・ドールや女性人気奏者サラ・ウィリス等が奏でるアンサンブルは強力無比にして超絶的。しかも柔らかな響きが夢心地へと誘う。プログラムもこの編成のためのオリジナルから世界の歌まで愉しさ満点!(7/4)

 代わっては「トロンボーン・ユニット・ハノーファー」。ハノーファー音楽演劇大学で学び、現在はベルリン・ドイツ響、バンベルク響などドイツのトップ楽団に所属する8人の奏者が集結したドリーム・グループである。ドイツ流の重厚な音色で統一された8本の豊潤なブレンドとパワフルな響き、精緻なアンサンブル、超絶技巧の応酬など、ステージは感嘆と驚きの連続。「展覧会の絵」等の名作の変身ぶりも興味深い(7/8)。

 そして10月は「フォーレ四重奏団」。世界でも稀な常設のピアノ四重奏団にして、25年間不動のメンバーで活動を続ける彼らは、今や世界の頂点に位置するアンサンブルと言っていい。同編成独特の芳醇なブレンド音で、緻密かつパッショネイトな音楽を醸成するその演奏は圧巻の一語。録音でも話題のアイディア豊かな「展覧会の絵」をはじめ、プログラムも魅力充分だ(10/11)。

 サイを除く6公演を聴けるお得なセット券も販売されている。奏者の息遣いまで感じられる高感度の音楽専用ホールで、かような最高級の演奏を続けて聴くのは、極上の贅沢というほかない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年4月号より)

*4/17「児玉桃(ピアノ)とヨーロッパの仲間たち」、5/5「ファジル・サイ ピアノ・リサイタル」は中止となりました。

*新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、公演やイベントの延期・中止が相次いでおります。
掲載している公演の最新情報は、主催者のホームページなどでご確認ください。

【information】
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/ 
※各公演の詳細は上記ウェブサイトをご覧ください。

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