【CD】マーラー:交響曲第3番 ニ短調/小泉和裕&九響

 この演奏会を聴けた福岡の聴衆は、さぞや満足して会場を後にしたことだろう。九州交響楽団と、2013年から音楽監督を務める小泉和裕による、マーラー最長の大作、交響曲第3番。19年7月のライヴ録音ながら、驚くべき精度のアンサンブルで、すばらしい演奏を実現した(わずかにずれる箇所も臨場感あふれて好感)。バランス明晰な響きで細部まで磨かれながら、スケールは大きく、豊かな歌にあふれる、小泉ならではのマーラー。雄渾な冒頭のホルン、繊細な場面のソロ楽器のニュアンス、もたれない流れで高貴な大団円を迎えるフィナーレ……幸福な共同作業の貴重な記録である。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年4月号より)

【information】
CD『マーラー:交響曲第3番 ニ短調/小泉和裕&九響』

マーラー:交響曲第3番

小泉和裕(指揮)
九州交響楽団
清水華澄(アルト)
九響合唱団 RKB女声合唱団 多目的混声合唱団“Chor Solfa!” 他

収録:2019年7月、アクロス福岡シンフォニーホール(ライヴ)
フォンテック
FOCD9831/2(2枚組) ¥3500+税