独創的な感性で作品に新たな光を当てるピアニスト
1959年ロシア生まれのエフゲニー・ザラフィアンツ。国内の数々のコンクールで入賞しながらも、ソ連時代ならではの不遇の日々を送ったこともあった。しかし93年、30代になってから、プレトニョフの勧めで受けたポゴレリチ国際コンクールで第2位に入賞し、国際的な活動を始めた。頭脳明晰、日本でも教鞭をとっていたことから日本語も堪能。その深い洞察力とともに、この人ならではの音楽表現を聴かせてくれるピアニストだ。
スペシャル・コンサートと銘打った今度の公演では、室内楽からソロ演奏まで、多彩なプログラムを披露してくれる。ブラームスのピアノ三重奏曲第1番で共演するのはチェコ・フィルの名手たち。また、テノールの橋本弦法を迎え、日本の歌やオペラのアリアを披露する。
そしてピアノ・ソロで演奏するのは、ムソルグスキーの「展覧会の絵」。独創的な音楽性の持ち主だけに、名曲にどのような角度から光を当ててみせてくれるのか、期待が高まる。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2020年3月号より)
2020.4/15(水)14:00 府中の森芸術劇場 ウィーンホール
問:アルペジオ音楽企画03-3418-5344
https://www.evgeny-zarafiants.com