チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーによるクァルテットは国際的に活動を展開し、幅広いレパートリーを持つが、とりわけチェコの音楽の演奏において、その伝統と魅力を素晴らしい形で伝えている。今回のディスクは東京文化会館でのリサイタルのライヴ録音。ヤナーチェクとドヴォルザークの作品を収めているが、そのどれもが香り立つような豊かな響きで奏され、チェコという国の空気を感じさせてくれる。またピアノの岩井のぞみが加わっての「ピアノ五重奏曲」では、透明感のある岩井の音色がクァルテットの音色と美しいコントラストを作り出し、立体感のある音楽を構築している。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年2月号より)
【information】
CD『チェコ・フィルハーモニー弦楽四重奏団&岩井のぞみ』
ヤナーチェク(イール編):霧の中で/ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」、ピアノ五重奏曲 op.81
チェコ・フィルハーモニー弦楽四重奏団
岩井のぞみ(ピアノ)
収録:2018年9月、東京文化会館(小)(ライヴ)
ナミ・レコード
WWCC-7914 ¥2500+税