人気奏者たちが極上の“夜”を演出
平日昼間のコンサートが増える中、夜しか時間がとれない方、夜にこそ音楽を聴きたい方の強い味方となるのが文京シビックホールの「夜クラシック」。年4回の同シリーズは、最寄り駅が複数ある都心ホールで19時30分に始まり、しかも人気・実力派アーティストがトークを交えながら名曲を披露するとあって、広い層から大好評を博している。
今年度の最後を飾る1月の公演は、若手実力派5人による室内楽。2010年ジュネーヴ国際コンクール優勝以来、国内外で活躍する萩原麻未(ピアノ)、16年モントリオール国際コンクール優勝後、スター街道を歩む辻彩奈(ヴァイオリン)、P.ヤルヴィ&エストニア・フェスティバル管や室内楽で名演奏を続ける安達真理(ヴィオラ)、10年ミュンヘン国際コンクール第2位受賞後、国際的キャリアを重ねる横坂源(チェロ)、著名オケの客演首席奏者・室内楽奏者として引く手数多の加藤雄太(コントラバス)と、豪華な顔ぶれが揃っている。
プログラムは、最初に「夜クラ」恒例のドビュッシー「月の光」を演奏。ピアノに酔いしれた後は、エルンストの超絶技巧ヴァイオリン曲とバッハの無伴奏チェロの看板曲で弦楽器独奏の妙技、シューベルトの弦楽三重奏曲で弦のブレンド、同じくピアノ五重奏曲「ます」で重層的サウンドを堪能できる、多種多彩なラインナップが用意されている。中心をなすシューベルトの音楽が、歌に溢れた親しみやすさと室内楽の醍醐味を併せ持つのは言わずもがな。各々ふだんはリサイタルを行う名手たちが触発し合いながら奏でる興趣満点の一夜を、大いに満喫したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年1月号より)
2020.1/17(金)19:30 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111
https://www.b-academy.jp/hall/