NHK交響楽団のトップ奏者によるフルート(神田寛明)&ヴィオラ(佐々木亮)&ハープ(早川りさこ)という稀有なアンサンブルによる魅惑のCD。晩年のドビュッシーがこのトリオのために書いたソナタは、音の色彩と香りを自在に変化させた3楽章からなるミステリアスな物語。エミリー・ディキンソンの詩からタイトルを得た武満徹のアルバム表題曲では、淡く柔らかい音色が芳醇なイメージを紡ぎ出す様が圧巻。イベールによる演劇の付随音楽ではバロック風で南欧風な2つのテイストを、ジョリヴェの小組曲ではフルートに超高度な技術を強いる5曲目が特に聴きどころだ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年12月号より)
【information】
SACD『そして、それが風であることを知った/神田寛明&佐々木亮&早川りさこ』
ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ L.137/武満徹:そして、それが風であることを知った/イベール:2つの間奏曲/ジョリヴェ:小組曲
神田寛明(フルート)
佐々木亮(ヴィオラ)
早川りさこ(ハープ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00707 ¥3200+税