ひばり弦楽四重奏団

昨年結成のチームがベートーヴェン・プロジェクトを始動&初CDリリース!

左より:漆原朝子、辻本 玲、大島 亮、漆原啓子 ©Ami Hirabayashi

 ヴァイオリンの漆原啓子を中心にした「ひばり弦楽四重奏団」がベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全曲演奏会シリーズを開始する。

 「そもそものきっかけは2018年に都民芸術フェスティバルの企画のひとつとして、私たち姉妹(妹は漆原朝子)のヴァイオリン、そこにより若い世代の演奏家を加えてクァルテットを組んで演奏しないかという依頼があったことでした。クァルテットを組む以上は、その演奏をよく知っている演奏家でないと難しい。そこで、以前からの知り合いで、木曽音楽祭でも何度か一緒に演奏をした経験のある大島亮さんと辻本玲さんを誘いました」と漆原啓子は語る。

 18年はちょうどドビュッシー没後100年の記念イヤーだったため、ハイドン、シューベルト、ドビュッシーというプログラムで演奏会を行った。そこから常設の弦楽四重奏団としてベートーヴェン全曲演奏会を行うという方向へ向かった。この11月18日に第1回をスタートさせ、5年間10回のコンサートで、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏する(すべてHakuju Hall)。初回はベートーヴェンの第2番「挨拶」と第9番「ラズモフスキー第3番」、そしてラヴェルを取り上げる。

 それぞれにベートーヴェンについて聞いた。漆原朝子(ヴァイオリン)はソリストとしての活躍が長く、クァルテットは初体験。「経験豊富なみなさんに色々教えていただきながら、必死に後を付いて行っているという感じですが、様々な苦悩を経て、精神的に浄化されたベートーヴェンの後期の世界は弦楽四重奏でしか体験できないと思います」と期待を語る。辻本玲(チェロ)は、「寄せ集めではなく常設のクァルテットで取り組みたかったベートーヴェン。難解だと言われますが、その音楽の渦の中に入って体験してみたいと思って参加しました。飾り気のないベートーヴェンの音楽に向き合いたい」と話す。大島亮(ヴィオラ)は、「無駄を削ぎ落としたシンプルな、でも奥深い世界があると思います。全曲やってみて、自分が何を感じるかが楽しみですし、やっていく過程で4人の音楽も変わっていくでしょう」と今後に期待を寄せる。漆原啓子は「年齢を経るに従って、自分の中のベートーヴェン像が変化してきたと思います。特に後期作品の中には神聖さと人間的な面白さが同居しているように感じます。それを表現してみたい」と語る。

 当シリーズ始動にあたり、ドビュッシーとラヴェルの録音もリリースする。それぞれの演奏経験をベースにした豊かな音楽表現、そして多彩な音作りに加えて、個々の楽器の自己主張もあり、活き活きとした会話が展開される意欲的な録音に仕上がっている。新しいクァルテットの門出に注目しよう。
取材・文:片桐卓也
(ぶらあぼ2019年11月号より)

ひばり弦楽四重奏団〜ベートーヴェン全曲演奏会 vol.1〜
2019.11/18(月)19:00 Hakuju Hall
問:アーツ・フロンティアーズ03-3971-1838

他公演
2019.11/11(月)宗次ホール(052-265-1718)

CD『ドビュッシー&ラヴェル:弦楽四重奏曲』
日本アコースティックレコーズ
NARD-5070 ¥2800+税
2019.11/21(木)発売

  • La Valseの最新記事もチェック

    • 勅使川原三郎(ダンサー・振付家・演出家)ロング・インタビュー Part1
      on 2020/02/19 at 02:22

      interview & text :岡見さえ photos:野口 博 世界的な振付家、ダンサーであることはもはや言を俟たず、さらに4月より愛知県芸術劇場芸術監督就任が話題を呼んでいる勅使川原三郎。3月の新作世界初演は、東京芸術劇場と愛知県芸術劇場で上演される『三つ折りの夜』だ。19世紀フランス象徴派の詩人ステファヌ・マラルメの詩にインスピレーションを得て、勅使川原が演出・振付・照明・美術を担当、佐 [&#8230 […]