インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル at Hakuju

新しいサウンド・シーンを体感

 新しい世界の開拓には、理屈抜きの面白さがある。分かりにくいと思われがちな現代音楽だが、会場に足を運べば実は盛況ということも少なくない。若手作曲家として世界的に活躍する藤倉大が、今年Hakuju Hallで行った《アート×アート×アート》も映像作品とのコラボなど、見どころ満載で好評だったようだが、来年2月に同ホールがニューヨークから招くのは、その藤倉との緊密な協業でも知られるインターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル(ICE)だ。
 現代音楽には決まった形式はなく、長さ、スタイル、編成、どれも様々だ。だから演奏には作曲家の難題に自在に応えられるスペシャリスト集団が必要となる。パリでブーレーズが設立したアンサンブル・アンテルコンタンポランは有名だが、2001年に設立されたICEはディレクターのフルーティスト、クレア・チェースが演奏に加え企画面でも縦横無尽に活躍、多くのプロジェクトを成功に導き、いまや同団をアメリカを代表する団体へと育て上げた。500以上という初演曲、数々の受賞歴、そしてCDのリリース数が、その偉業を物語っている。
 今回の公演には音響のよいHakuju Hallの特性を生かし、4人の木管奏者と打楽器奏者の計5人が登場、ソロから電子楽器とのアンサンブルまで8曲を披露してくれる。うち半分は、ロンドン在住の藤倉が彼らとスカイプを使い、大西洋をまたいで連携しながら仕上げた作品だ。こうした創作プロセスも、音楽に斬新な息吹を与えているかもしれない。作曲家と演奏者の最高のコラボが切り拓く、新しいサウンド・シーンに耳をすませようではないか。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2013年11月号から)

★2014年2月25日(火) ・Hakuju Hall ●11月16日(土)発売
問 Hakuju Hallチケットセンター
03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp
ローチケLコード 35158