大友直人(指揮) 東京交響楽団

ブラームスで聴く大友の“円熟”

(c)Rowalnd Kirishima

(c)Rowalnd Kirishima

 大友直人が東京交響楽団の専属指揮者になって、早20年が過ぎた。甘いマスクとフレッシュな指揮姿で聴衆をとろけさせてきた大友も、ロマンスグレーの似合う貫禄のマエストロへと成熟を遂げている。つい数日前にも筆者は、両者が「惑星」などを演奏するのを聴いたが、奇をてらうことなく作品に正面から向かい合い、オーケストラからスケールが大きく、たっぷりとした音楽を引き出すリードに、円熟とはこのことをいうんだろうな、と大いに得心したところだ。
 そんなマエストロに似合う作曲家こそ、ブラームスだ。大友は以前からよく取り上げてきたが、やればやるほど深みがでてくるのだから。今回は前半に「運命の歌」、「悲歌」と渋い合唱曲が並んでいる。それぞれヘルダーリンとシラーによる神や死についてのテキストに基づくが、天上界の様子や人間の深い思いをメロディに乗せるいぶし銀の筆運びは、まさに秋の深まりにぴったり。後半におかれたピアノ協奏曲第2番は、協奏曲といいつつも交響曲に匹敵する大作だ。
 前半で合唱を披露する東響コーラスは1987年設立。東響とは大友よりも長い共演歴を誇る。オーディションによって選抜されたメンバーが一丸となって、オーケストラを熱く盛り上げてきた。ピアノ協奏曲第2番ではソリストにアンドレ・ワッツが登場する。十代で活動を始めた大ベテランだが、パワフルでスケールの大きな演奏が持ち味のワッツも60代後半となり、マエストロとの共演も節々に滋味が感じられるものとなるだろう。文:江藤光紀
(ぶらあぼ2013年11月号から)

【編集部註】
「東京オペラシティシリーズ第76回(2013年11月15日)」 「第81回新潟定期演奏会(2013年11月17日)」に出演を予定しておりましたピアニスト アンドレ・ワッツ氏は、転倒した際に手首を負傷し、医師の判断により12月末までの公演を全てキャンセルすることになったため、同公演への出演が不可能となりました。代わって、クン=ウー・パイク(白建宇)氏が出演します。なお変更に伴うチケットの払い戻しはございません。

第76回 東京オペラシティシリーズ
★11月15日(金)・東京オペラシティコンサートホール
問 TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511
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第81回 新潟定期演奏会
★11月17日(日)・新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ
問 りゅーとぴあ025-224-5521 http://www.ryutopia.or.jp