理想の楽器を得て聴かせる渾身のピアニズム
實川風は、ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第3位、第77回日本音楽コンクールピアノ部門第3位など、数々の輝かしい受賞歴を誇り、国内外でソロはもちろん、室内楽の分野でも一流演奏家からの信頼が厚く、目覚ましい活躍を続けている。
ショパンとベートーヴェンの演奏を柱に演奏活動を展開してきた實川が今回挑むのはショスタコーヴィチ、ラフマニノフ、ベートーヴェン、プロコフィエフだ。これまでの彼からするとかなり意外な選曲だが、これは今回使用するベーゼンドルファーの最新モデルである「280VC」の音色を念頭に置いて選択したという。意外性もありながら、高い技術、緻密な構築性、多彩な音色が求められる作品が並んでおり、實川の魅力を最大限に引き出すことのできる選曲でもある。
輝かしさと深さを併せもち、奏者の魅力を多彩に引き出すベーゼンドルファーの音色は實川の表現力をさらに高め、進化を続ける彼の音楽を存分に楽しませてくれることであろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2019年10月号より)
2019.11/16(土)14:00 東京文化会館(小)
問:サポート・アーティスツ・アソシエーション050-3695-5678
https://primesartists.wixsite.com/supportartists/