超高感度のクァルテットによるバルトークと現代作品、そして一柳の全曲!
神奈川県民ホールは、開館45周年記念として神奈川芸術文化財団芸術総監督をつとめる一柳慧プロデュースによるフラックス弦楽四重奏団の公演を行う。2015年来日の際にも、その実験精神あふれる演奏が高く評価されたこのクァルテットは、1990年代後半に、ヴァイオリンのトム・チウによって結成。現代作品を中心に膨大なレパートリーを誇り、国際的に活躍中だ。
今回は2公演が開催される。まず2020年1月11日公演では、ナンカロウの第3番、バルトークの第5番といった20世紀作品から、最近作まで織り交ぜて、多彩な世界を表現する。とりわけ注目なのは、シカゴ響の2018/19シーズンでコンポーザー・イン・レジデンスをつとめた若手エリザベス・オゴネク(1989〜)の「ランニング・アット・スティル・ライフ」。彼女は招聘作曲家として、来年1月13日に開かれる日米の現代音楽についてのシンポジウムにも参加予定だ。そして、1月18日には一柳の弦楽四重奏曲全曲を一挙に演奏するという大胆な企画も用意。幅広いジャンルで創作を展開してきた一柳だが、弦楽四重奏曲は彼の作曲の核になるジャンルのひとつ。1957年の作品から、「インタースペース」(1986)といった秀作、そして今回日本初演となる第5番(2018)まで、一柳のこれまでの歩みをまとめて聴くことができる。
関連企画として、公募で選出された弦楽四重奏曲を作曲家とフラックス弦楽四重奏団とで仕上げていく過程を公開する「ワークインプログレス」(20.1/9)などもあるので、あわせて楽しみたい。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2019年9月号より)
《系譜》family tree of American Composers
2020.1/11(土)15:00
《一柳慧 弦楽四重奏曲 全曲演奏会》
2020.1/18 (土) 15:00
神奈川県民ホール(小)
2019.9/7(土)発売
問:チケットかながわ0570-015-415
https://www.kanagawa-kenminhall.com/
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