【CD】マルサリス:ヴァイオリン協奏曲 他/ニコラ・ベネデッティ

 ウィントン・マルサリスが作曲した初のクラシック作品たる本CDでは、さすがの「知将」だけに極めてハイレベルな音楽が展開される。とは言ってもクラシックに色目を使った作品という訳では全くなく、ジャズマンたる彼の出自がコープランドやバーンスタインにも連なるやり方でより多様な音彩のもとに繰り広げられ、さすがマルサリスと唸る他ない。こんなことはこの人以外には出来まい。2曲とも各楽章・曲には具体的な標題性があって分かりやすく、しかしそれがありきたりかつ平凡なやり方では全く処理されていない。ベネデッティの演奏も秀逸、クラシックファンにもジャズファンにも聴いていただきたい。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2019年9月号より)

【information】
CD『マルサリス:ヴァイオリン協奏曲 他/ニコラ・ベネデッティ』

ウィントン・マルサリス:ヴァイオリン協奏曲、「フィドル・ダンス」組曲

ニコラ・ベネデッティ(ヴァイオリン)
クリスチャン・マチェラル(指揮)
フィラデルフィア管弦楽団

ユニバーサルミュージック
UCCD-1473 ¥2800+税

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