2011年に発表されたチェンバリスト、中野振一郎のベスト盤を高音質リマスター化。独仏を軸にスカルラッティ父子とソロ作品、ヴァイオリンの川田知子やフォルテピアノの高田泰治とのデュオ、コレギウム・ムジクム・テレマンとの協奏曲と、中野の幅広いレパートリーを俯瞰。リマスターにより、高音がまろみを帯び、中音域の響きがより豊潤となり、フレンチのブランシェをはじめ、ジャーマンのミートケ、フレミッシュのルッカースとモデルとした楽器による音色の違いも明確に。録音から時間を経てなお、自然な緊張感と、創意に富んだ意外性を併せ持つ、快演の鮮烈さが伝わってくる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年8月号より)
【information】
CD『パッサカリア ザ・ベスト・オブ・チェンバロ/中野振一郎』
ヘンデル:シャコンヌ ト長調(調子の良い鍛冶屋)、パッサカリア〜組曲ト短調より/ラモー:未開人、やさしい訴え/A.スカルラッティ:フォリア ニ短調/D.スカルラッティ:ソナタ イ長調 K.208/J.S.バッハ:アリア〜ゴルトベルク変奏曲より/ベンダ:チェンバロ協奏曲 ト長調より 他
中野振一郎(チェンバロ)
川田知子(ヴァイオリン)
高田泰治(フォルテピアノ)
コレギウム・ムジクム・テレマン
マイスター・ミュージック
MM-4060 ¥3000+税