一流アーティストにより音楽が作り上げられる舞台裏を目撃する
アフィニス文化財団の主催する「アフィニス夏の音楽祭」は、日本のプロ・オケに所属する奏者たちが、世界のトップ・オケで活躍するプレイヤーたちと、約一週間にわたりじっくりと音楽を作りこむセミナー音楽祭だ。1989年に長野県飯田市で始まり、近年は広島、山形と隔年で開催地を変え、昨年いったん一区切り。今年から新たに新潟県長岡市に場所を移し、オタワ・ナショナルアーツセンター管のコンマスを務める川崎洋介を音楽監督に迎えて再スタートを切る。若手や学生ではなく現役音楽家が経験を分かちあい、刺激しあう音楽祭は珍しく、きわめて貴重だ。継続を喜びたい。
今年は招聘音楽家としてヴァイオリニスト、さらに近年は指揮者としても快進撃を続けるヨーン・ストルゴーズを筆頭に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、クラリネット、ホルンの名手たちが世界から結集。会期中は弦楽合奏や楽器別のセミナー、ワークショップが開かれ、その成果がコンサートで披露される。ブラームスの弦楽六重奏曲第1番やドヴォルザークの弦楽五重奏曲第2番、さらにはシェーンベルクの「浄夜」など弦楽アンサンブルの名作を核に、モーツァルトのクラリネット五重奏曲なども取り上げられる。
セミナーは一般聴講も可能。舞台裏で楽曲はどんなふうに仕上げられていくのだろうか。最高の味わいが出せるように微調整を繰り返しながら、一期一会の本番に向けて万端な準備を重ねる。普段は見られない一流音楽家たちの“厨房”と楽曲完成までのプロセスを、このチャンスに丸ごと楽しもう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年7月号より)
2019.8/20(火)〜8/25(日)
長岡リリックホール、アオーレ長岡(長岡市議会議場)
問:アフィニス文化財団03-5797-7135
https://www.affinis.or.jp/