フランス近現代の音楽に愛を注ぎ、40年にわたる演奏活動を通じてその魅力を伝え続けてきた岡本愛子。本アルバムは、その軌跡の一端を収めた、楽しくも貴重なライヴ録音である。メシアン生誕100周年、デュティーユの特集、そしてパリのソリストたちとの室内楽シリーズのリサイタルから選りすぐりの録音が並べられる。フルートと共演する「牧神の午後への前奏曲」の香しさ、プーランクの「躊躇いのワルツ」の洒脱さ、メシアンの前奏曲集の倍音の豊かさなど、どこをとってもフランス音楽への深い眼差しと、音楽する喜び、響きへの優しさに満ち溢れている。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2019年7月号より)
【Information】
CD『souvenirs〜記憶〜/岡本愛子』
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲/デュティーユ:波動のままに/プーランク:「城への招待」より〈躊躇いのワルツ〉、オーボエとピアノのためのソナタ/メシアン:前奏曲集
岡本愛子(ピアノ)
カトリーヌ・カンタン(フルート)
クリストフ・グランデル(オーボエ) 他
収録:2008年5月、12年10月、東京文化会館(小) 他 (ライヴ)
コジマ録音
ALCD-9195 ¥2800+税