【CD】テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア/川田知子

 独バロックの巨匠テレマンの「無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア」は1735年、作曲者自身の手で出版され、当時の大ヒット作に。しかし、今ではバッハの一連の無伴奏作品に取り組むため、必要な技術を習得する“前段階”の作品と位置付けられがちだ。だが、国際的に活躍する名手・川田知子は、時代特有の様式感を踏まえつつ、モダン楽器ならではの剛性と明晰な発音の特性を最大限に生かして、バッハとは異なる精神と感性に基づいた、この作品のスタイリッシュな魅力を現出。色調も1曲ごとに繊細に変容させ、多層的で機知に富む、独自の筆致を余さず表現し尽くす。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年7月号より)

【Information】
CD『テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア/川田知子』

テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア

川田知子(ヴァイオリン)

マイスター・ミュージック
MM-4057 ¥3000+税