2000年にウィーン国立歌劇場デビューを果たし、NHK大河ドラマ『新選組!』テーマ曲の歌唱などでクラシック・ファン以外にも抜群の知名度を誇るテノールの新譜。近年はドイツ歌曲の歌い手としても定評のある彼が、17年に名古屋で行った公演のライヴ録音盤。前半は“楽聖”ベートーヴェンによる愛の歌で、大作「遙かなる恋人に寄す」の6篇などは単なるラヴ・ソングを超えた崇高な雰囲気。後半“歌曲王”シューベルトによる名曲集でも音楽への真摯な想いをテキストに重ねた歌唱が圧巻だ。“うたを知り尽くした”ピアニスト、河原忠之による好サポートも聴きどころ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年7月号より)
【Information】
CD『ベートーヴェン × シューベルト/ジョン・健・ヌッツォ』
ベートーヴェン:アデライーデ、君を愛す、歌曲集「遙かなる恋人に寄す」/シューベルト:歌曲集「白鳥の歌」より〈セレナーデ〉〈漁師の娘〉、春への想い、ます、ミューズの子、歌曲集「美しき水車小屋の娘」より〈知りたがる者〉 他
ジョン・健・ヌッツォ(テノール)
河原忠之(ピアノ)
収録:2017年6月、電気文化会館 ザ・コンサートホール(ライヴ)
フォンテック
FOCD9814 ¥2500+税