新潟にゆかりのある名手たちが、2003年から活動を継続している「TOKI」。新アルバムは東欧の作曲家たちの「知られざる名曲集」が並ぶ、意義深い1枚。演奏者の作品への共感は深く、個人技もアンサンブルもライヴとは思えない水準で、隠れた佳品の魅力を明らかにする。ドホナーニ16歳でのロマンティックな六重奏曲がこれほどの好演で聴けることは嬉しいし、心に訴えるバツェヴィチとマルティヌーも新たな発見となろう。全員の仲の良さが伝わるような明るく温かい響きは大きな特色(中でも鈴木康浩のヴィオラは筆者個人的に理想の存在感)で、更なる活躍が望まれる4人だ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年6月号より)
【Information】
CD『ライヴ・セレクション/TOKI弦楽四重奏団』
バツェヴィチ:弦楽四重奏曲第4番/マルティヌー:同第7番「室内協奏曲」/ドホナーニ:弦楽六重奏曲
TOKI弦楽四重奏団【岩谷祐之 平山真紀子(以上ヴァイオリン) 鈴木康浩(ヴィオラ) 上森祥平(チェロ)】
小熊佐絵子(ヴィオラ)
福富祥子(チェロ)
収録:2014年7月、東京オペラシティ リサイタルホール(ライヴ) 他
ナミ・レコード
WWCC-7894 ¥2500+税