17〜18世紀のイタリアで、シリアスなオペラの幕間に息抜きとして上演され人気を博した「インテルメッツォ」。その有名な2作品に挑んだ、日本の名バスバリトン佐藤征一郎による絶頂期(1984年)のライヴ録音が登場。オーケストラの練習風景を各楽器奏者と格闘するマエストロの視点で描いた一人芝居《宮廷楽士長》はイタリア語、小間使いが金持ち老人の妻の座におさまる過程を面白おかしく描いた《奥様女中》は日本語訳による上演だが、どちらもステージ上の楽しげな雰囲気が絶妙に伝わってくる。両公演のピアノ伴奏を担当した川口耕平の明るい音色も素晴らしい。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年6月号より)
【Information】
CD『チマローザ:宮廷楽士長&ペルゴレージ:奥様女中/佐藤征一郎』
チマローザ:歌劇《宮廷楽士長》/ペルゴレージ:歌劇《奥様女中》 他
佐藤征一郎(バスバリトン)
川口耕平(ピアノ)
紙谷加寿子(ソプラノ)
櫻井利幸(バリトン)
収録:1984年12月、音楽の友ホール(ライヴ) 他
ナミ・レコード
WWCC-7895 ¥2500+税