小泉和裕(指揮) 東京都交響楽団

充実顕著な実力者がおくる十八番二題


 「こんな協奏曲が書けるとわかっていたら、真っ先に自分が書いていただろうに!」…これは、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を知った際に発したブラームスの言葉だ。ブラームスは自ら世に出した後輩に、ドヴォルザークは恩人に敬意を抱き、二人は厚い友情で結ばれていた。都響の7月A定期は、この二人の本格作が並ぶ相性抜群のプログラム。前半のドヴォルザークのチェロ協奏曲は、言わずと知れた同ジャンルの最高峰、後半のブラームスの交響曲第2番は、彼の交響曲の中でも明朗でふくよかな作風の人気作である。異国アメリカで思い描いた故郷ボヘミアの情景と、風光明媚な湖畔の避暑地ペルチャッハの風景を反映した両作の組み合わせは、自然の香りが漂い、雄大にしてノスタルジック。それらを日本屈指の重層的サウンドを誇る都響の演奏でじっくりと味わえる点が、まずは今回の妙味となる。

 指揮は終身名誉指揮者の小泉和裕。近年、演奏にいっそうの深みを増している彼は、昨シーズンの都響定期でも、ドヴォルザーク、ブラームスの交響曲で雄弁かつ濃密な名演を展開し、大喝采を浴びている。それゆえ今回も分厚い弦楽をはじめとする同楽団の特質を活かした濃厚な音楽を聴かせてくれるに違いない。チェロは大人気の宮田大。今年はロストロポーヴィチ国際チェロコンクール優勝から10周年の節目にあたる。むろんドヴォルザークは再三弾いてきた十八番だが、シンフォニックな同曲に相応しいバックを得た今回は、現時点での集大成となる大スケールの熱演が期待される。
 これは、充実を極めた演奏陣で王道の名作を味わう、聴き応え十分のコンサートだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年6月号より)

第881回 定期演奏会Aシリーズ 
2019.7/16(火)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057 
https://www.tmso.or.jp/

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