【CD】片山敬子 プレイズ シューマン、ベートーヴェン、ショパン

 ライナー筆者の「改めて演奏とは何かを考えさせられた」という言葉を噛みしめる。半世紀近い活動で自らの音楽を深め続けるピアノの名匠、片山敬子の練達の技が詰まった新譜。肩肘張らずとも十分な質感があり、精妙な和声感と流麗な流れで、ベートーヴェンがあたかもシューベルトのように響く。ショパンも力みの抜けた歌と淡いロマンが、メンデルスゾーンやシューマンさえ思わせる。いずれも“〜らしさ”という固定観念が心地よく覆るような説得力。無理のないタッチから自ずと詩情が立ちのぼり、曲の清新な美しさだけが心に響いてくる。今こそ聴かれるべき至芸。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年5月号より)

【Information】
CD『片山敬子 プレイズ シューマン、ベートーヴェン、ショパン』

シューマン:アラベスク
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第4番
ショパン:24の前奏曲

片山敬子(ピアノ)

ナミ・レコード
WWCC-7893 ¥2500+税

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