昨年浜松国際ピアノコンクール第2位という快挙を成し遂げた牛田が挑んだのは、ショパンの“魂”が詰まった作品である難曲「前奏曲集」。ピアニストとして更に高いステージに立った彼の芸術性が存分に発揮されたものとなっている。凛とした佇まいを感じさせる透明感のある音色は曲の進行とともに多彩な表情を見せ、一曲ごとに美しい詩を読んだ時のような感動に包まれる。カップリングの「バラード第1番」は、練り上げられたフレージングによって、壮大な物語が語られるように音楽が展開。緩急のバランスも見事で、感動的なドラマが決して大仰になることなく紡ぎ出されている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2019年5月号より)
【Information】
CD『ショパン:バラード第1番、24の前奏曲/牛田智大』
ショパン:バラード第1番、24の前奏曲
牛田智大(ピアノ)
ユニバーサル ミュージック
UCCY-1096 ¥3000+税