【CD】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番/反田恭平

 変幻自在な表現力と深い精神性。左右の指がユニゾンで主題を奏でる、協奏曲冒頭の24小節を聴いただけで反田恭平の非凡さを思い知らされる。反田は高校在学中に日本音楽コンクールで優勝、現在はショパン音楽大学で学びつつ、精力的に演奏活動を展開する注目の俊英。かつてはサッカー少年で、手首を骨折した経験も。“英才教育”と無縁だったからこそ、しなやかな感性を直に反映した音楽創りが可能になったのか。ソロの佳品も交え、次々に現れる超絶技巧は、決して曲芸的に“処理”されることなく、音楽的な必然性と奏者自身の内面に裏打ちされる。バックのオケも彫りの深い好演。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年4月号より)

【Information】
CD『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番/反田恭平』

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、ピアノ・ソナタ第2番(1931年改訂版)、10の前奏曲 op.23-2,4

反田恭平(ピアノ)
アレクサンドル・スラドコフスキー(指揮)
ロシア・ナショナル管弦楽団

日本コロムビア
COCQ-85458 ¥3000+税