桐朋学園大学、同大学研究科を終了後、パリ・エコール・ノルマル音楽院で研鑽を積んだ市川高嶺。本盤は、ソロはもちろん室内楽でも幅広く活躍する彼女が昨年の8月に東京文化会館で行ったリサイタルのライヴ録音となっている。バッハやシューマン、ドビュッシーなどバラエティに富む選曲で、市川の多彩なピアニズムが存分に味わえる。フランスで学んだ彼女の煌びやかな音色によるドビュッシーが魅力的なのはもちろんだが、特にシューマンの「幻想曲ハ長調」の音色や色とりどりの歌いまわしが印象的。バッハやベートーヴェンでの構築力の高さにも注目してほしい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2019年4月号より)
【Information】
CD『市川高嶺 ピアノ・リサイタル ―ライヴ イン 東京2018―』
J.S.バッハ:パルティータ第1番/ショパン:ポロネーズ第7番「幻想」/ドビュッシー:仮面、喜びの島/ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲/シューマン:幻想曲、トロイメライ
市川高嶺 (ピアノ)
収録:2018年8月、東京文化会館(小)(ライヴ)
ナミ・レコード
WWCC-7890-1(2枚組) ¥3500+税