西谷牧人(チェロ)

マルチに活躍するチェリストが拓く新たなフィールド

©Daisuke Yamagishi

 東京交響楽団の首席チェロ奏者を務める西谷牧人は積極的にソロ演奏も行い、同オーケストラの第2ヴァイオリン首席奏者である清水泰明とのユニット「清水西谷」も結成。自作曲の演奏など、クラシックの枠に留まらない活動を展開している彼が、今回東京では6年ぶりとなるリサイタルを開催する。ピアノは新居由佳梨。
「どんどん新しいことに挑戦したいんです。『清水西谷』では多重録音を使用して弦楽オーケストラの作品も演奏しました。ただ同じパートを繰り返し演奏するのではなく、それぞれの録音を別の人格で“演じる”ように演奏し、新しい音の“厚み”にこだわりました」

 「清水西谷」では作曲も行っており、今回のリサイタルでも自作曲「『牧人ひつじを』の主題によるパラフレーズ」を初演する。
「ある意味で“原点回帰”です。現代では分業になっていますが、クラシックの作曲家たちは自作自演をしていましたからね。自分で曲を書くようになってから、作曲家の気持ちが前よりももっとわかるようになり、楽譜との向き合い方が変わりました。今回のパラフレーズは、私の名前の由来にもなっている有名なクリスマスキャロルの旋律を主題にした変奏曲で、10分を超える曲になりました。これはリサイタルプログラムの前半の最後に演奏するのですが、ここに至るまでにバッハの『ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第1番』、そしてラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』、ウェーベルンの『チェロとピアノのための2つの小品』を置きました。あらゆる時代を俯瞰できるプログラムになっています」

 非常に創意に溢れた選曲だが、これは現在、西谷が奏者を務める東響の音楽監督であるジョナサン・ノットから学んだことが大きいという。
「現代音楽とバロック時代やロマン派の作品を組み合わせて作品の新しい面に光を当てるノットさんのプログラミングと、歌と密接な音楽運びからはたくさんの影響を受けています」

 後半は“ロマンティック・プログラム”と題し、フランクのソナタ(チェロ版)にブラームスとドヴォルザークの歌曲が並ぶ。
「ブラームスはピアノ協奏曲のチェロ独奏のメロディをもとにした歌曲、ドヴォルザークは歌曲の旋律がチェロ協奏曲に引用されていて、どちらもチェロと深いかかわりがある作品です。チェロという人間の声に一番近い楽器から様々な響きや音色、歌い方のあらゆる可能性をお届けできればと思っています」

 彼の積極的で多彩な活動は、クラシック音楽の新たな可能性を導き出してくれるだろうと期待せずにはいられない。
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ2019年4月号より)

西谷牧人 チェロリサイタル 
2019.4/27(土)17:00 JTアートホール アフィニス
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
https://www.proarte.jp/

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