マニュエル・ルグリを中心とする世界最高峰のバレエダンサー4名と国内外で活躍する俊英音楽家が共演する「マニュエル・ルグリ『Stars in Blue』BALLET & MUSIC」(企画制作:愛知県芸術劇場)が、3月8日、9日の東京芸術劇場公演で幕を開け、大阪(3/11)、宮崎(3/14)、愛知(3/17)と回り、全国4都市で上演される。記者会見が3月6日、都内で行われた。
同公演は極上のバレエと音楽を一挙に味わえることを願って企画され、バレエ界のスターと日本の才能豊かな音楽家、三浦文彰(ヴァイオリン)と田村響(ピアノ)が出演する。上演されるのはダンス作品6つ、演奏のみの4曲。
マニュエル・ルグリはパリ・オペラ座バレエ団きっての名エトワールとして長年君臨し、現在ウィーン国立バレエ団芸術監督を務める。
「私と音楽の関係は特別なもので、今回は素晴らしいダンサー、振付家だけでなくピアニスト、ヴァイオリニストが並んでいます」
注目はルグリがボリショイ・バレエの若きプリンシパルであるオルガ・スミルノワと共演する新作・世界初演『OCHIBA〜When leaves are falling〜』だ。イタリアの作家アレッサンドロ・バリッコの小説「絹(シルク)」に想を得ており、19世紀を舞台にフランス人男性が極上の絹を生む蚕を求めて訪ねた日本で出会った女性との神秘的な恋をモティーフとする。振付はルグリの盟友パトリック・ド・バナ。ド・バナはこう話す。
「“最も純粋な形の愛”を描きます。オルガはピュアで清らかな精神性を持つダンサーです」
スミルノワはルグリと踊ることを喜び、ド・バナに感謝する。
「デュエットですが、それぞれ振り付けられたソロを合わせて二重奏のようになっています。ド・バナのおかげで新しい芸術の域を得たと感じています」
『OCHIBA』の音楽はフィリップ・グラスによるもので演奏は田村響(ピアノ)。
「バレエの方々との共演は初めてです。音楽と動きの融合の美しさ、素晴らしさを体感していただければ」
ルグリが兄事する巨匠振付家ジョン・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエ団プリンシパルのひとり、シルヴィア・アッツォーニは参加できる喜びを隠さない。
「音楽家の方と一緒にステージに立ち非常に密な関係を築くことができると思います。これは稀な、とても美しい関係です」
ヴァイオリンの三浦文彰もこう続ける。
「僕らにとっても臨場感を感じながら演奏することができると思います。(ダンサーの方々と)合わせましたが、はっきりいって本当にきれいです(笑)」
スミルノワと『タイスの瞑想曲』(プティ振付)、アッツォーニと『ソナタ』(ショルツ振付)を踊るセミョーン・チュージン(ボリショイ・バレエ プリンシパル)は控えめながらも意欲満々。
「皆さんと共演できるのは大きな名誉です。非常にハッピーです」
ルグリが踊る『Moment』(ホレチナ振付)にはバッハとブゾーニの音楽が用いられる。2017年の初演から舞台上で演奏し、ルグリと共演する滝澤志野(ウィーン国立バレエ団専属ピアニスト)は思いを明かす。
「時は流れるもので決して留まっていません。2年前とはまた違う新たな私たちの『Moment』が生まれると思います」
演奏のみの曲に関して三浦はパガニーニの「ネル・コル・ピウ変奏曲」、ラヴェルの「ツィガーヌ」(田村と共演)を取り上げ、「ダンサーの皆さんがきらびやかなので、どちらかといえば華やかなレパートリーにしました」と述べた。田村はショパンの2曲を弾き、「1曲はしっとりとしたものを」と「ノクターン 第20番(遺作)」を、もう1曲はワルツにしたいと考えて「華麗なる大円舞曲」を選んだ。
質疑応答の最後にルグリは公演に向けての期待をこう語った。
「音楽家たちと舞台に上がり、彼らと共に音楽の存在を感じるでしょう。自分たちの新しい踊り方を見出すことができるかもしれません。私たち全員にとって、とても重要な体験になるはずです」
取材・文:高橋森彦
【公演情報】
マニュエル・ルグリ『Stars in Blue』BALLET & MUSIC
2019.3/8(金)19:00、3/9(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
http://www.geigeki.jp/
2019.3/11(月)大阪/ザ・シンフォニーホール
問:キョードーインフォメーション0570-200-888
https://www.symphonyhall.jp/
2019.3/14(木)宮崎県立芸術劇場
問:宮崎県立芸術劇場0985-28-3208
http://www.miyazaki-ac.jp/
2019.3/17(日)15:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
問:愛知県芸術劇場052-971-5609
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/