幼少期より数々のコンクールで華やかな成績を残し、パリおよびベルリンで長年研鑽を積んだ実力派のピアニスト、酒井有彩のファーストCD。推進力に溢れるラヴェルのピアノ協奏曲(飯森範親指揮、日本センチュリー交響楽団)をアルバム冒頭に据え、独奏曲としてショパン、ラヴェル、クライスラー(ラフマニノフ編)、サン=サーンス(ゴドフスキー編)の作品を並べ、絶妙な拍節感や精彩なタッチのコントロールにより、生き生きと音楽の喜びを伝える。テクニックのみならず、「音楽作り」のリッチな土台を感じさせてくれる、美しい新星に出会える一枚だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2019年3月号より)
【Information】
CD『ラヴェル:ピアノ協奏曲/酒井有彩』
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調、水の戯れ、ソナチネ/ショパン:3つの華麗なる大円舞曲 op.34/クライスラー(ラフマニノフ編):愛の悲しみ、愛の喜び/サン=サーンス(ゴドフスキー編):白鳥
酒井有彩(ピアノ)
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
オクタヴィア・レコード
OVCT-00161 ¥3000+税