Quartet Plus

7人の奏者たちが起こす名演のケミストリー


 通常4人で活動している弦楽四重奏団がゲスト奏者を迎えて引き起こす化学反応が楽しみな紀尾井ホールの「クァルテット・プラス」。3月の公演には、現在の日本を代表する凄腕クァルテットのひとつ、ウェールズ弦楽四重奏団(ヴァイオリン:﨑谷直人、三原久遠、ヴィオラ:横溝耕一、チェロ:富岡廉太郎)が2年ぶりに再登場する。

 今回の「プラス」は3人。彼らが「もっとも尊敬するヴィオラ奏者」と信頼する佐々木亮。チェロの横坂源は﨑谷、横溝、富岡の高校時代からの仲間だが、これが初共演なのだそう。そしてもう一人、彼らが「スーパー・コントラバシスト」と崇める池松宏と2014年の東京・春・音楽祭でも共演していたのが、今回7人で演奏する、R.シュトラウス「メタモルフォーゼン」七重奏版だ。23の独奏弦楽器のための作品として知られるが、1990年に発見された、作曲者自身の七重奏用のショート・スコア(コンデンス・スコア)を元に再構成した版(ルドルフ・レオポルド編曲)。規模を縮小して書き直したのではなく、こちらが当初の構想だったと考えられている。登場するすべての旋律が、ベートーヴェン「英雄」の葬送行進曲の変容だったことが最後に明かされるが、今回のプログラム全体も、4人で演奏するベートーヴェンの弦楽四重奏曲第5番(第3楽章が変奏曲形式)、リゲティの弦楽四重奏曲第1番「夜の変容」とともに、「変奏」「変容」をテーマに大きな連環を形作る。いかした関連付けと選曲!
文:宮本 明
(ぶらあぼ2019年3月号より)

Quartet Plus ウェールズ弦楽四重奏団 + 佐々木 亮 & 横坂 源 & 池松 宏
2019.3/15(金)19:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 
http://www.kioi-hall.or.jp/