【CD】リサイタル ライヴ・イン・コンサート 2018/ペーター=ルーカス・グラーフ

 1929年スイス生まれのフルート界の大重鎮的名手が、昨年89歳時に行った日本公演のライヴ録音。バロックから現代に至る重要作品で構成された内容は、往年の大家の余芸的なものではなく、第一線の奏者たる矜恃を保っている。演奏はどれも無駄な力が入らずして雄弁かつ瑞々しい。中でも無伴奏2曲の密度の濃さは驚異的だし、全体的な歌い回しはやはり至芸と言うに相応しい。自身の体で音を作る管楽器で、90歳間近にしてかくも強靭なパフォーマンスが可能であることを示した本作は、貴重なドキュメントの意味を持ちながら、聴く者に勇気を与えてくれる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年3月号より)

【information】
CD『リサイタル ライヴ・イン・コンサート 2018/ペーター=ルーカス・グラーフ』

ヘンデル:ソナタ op.1-11/ラウバー:3つのフモレスク/シューベルト(グラーフ編):アルペジオーネ・ソナタ第1楽章/ルーセル:笛吹きたち/福島和夫:冥/ゴーベール:ノクチュルヌとアレグロ・スケルツァンド

ペーター=ルーカス・グラーフ(フルート)
田原さえ(ピアノ)

収録:2018年8月、昭和音楽大学ユリホール(ライヴ)
マイスター・ミュージック
MM-4049 ¥3000+税

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