個性的な3作品を並べた“攻め”のプログラム
日本フィルハーモニー交響楽団3月の東京定期に、欧州で活躍する指揮者アレクサンダー・リープライヒが登場する。リープライヒは、1968年、レーゲンスブルク生まれ。ミュンヘンとザルツブルクで学び、クラウディオ・アバドとミヒャエル・ギーレンの薫陶を受けた。長年、ミュンヘン室内管弦楽団の芸術監督を務め、2012年からポーランド国立放送交響楽団の首席指揮者兼芸術監督、さらに昨年秋からプラハ放送交響楽団でも同様のポストに就いている。エネルギッシュでニュアンス豊かな音楽を作るリープライヒ。日本フィルとは初共演だが、彼の本領発揮といえる“攻め”のプログラムに期待が高まる。
ロッシーニの名曲、歌劇《泥棒かささぎ》序曲も、彼が指揮すると、遊び心溢れるスリリングな音楽として楽しめることだろう。大注目は、20世紀ポーランドを代表するルトスワフスキ(1913〜94)の交響曲第3番。72年にシカゴ交響楽団の委嘱で作曲が開始されたが、中断をはさみ83年に完成した作品。いわゆる「管理された偶然性」を含み、そこでは指揮者の指示のもと奏者の自由なアドリブで進められる。人気の現代曲で、ルトスワフスキもポーランド放送響と何度も取り上げ、録音も残している。現在ゆかりの楽団を率いるマエストロが、この曲にある歓喜やエネルギーの爆発をどのように表現するのか注目したい。
後半は、ベートーヴェンの交響曲第8番。風を切って突き進む、躍動する演奏で大いに楽しませてくれるだろう。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2019年2月号より)
第708回 東京定期演奏会
2019.3/15(金)19:00、3/16(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
https://www.japanphil.or.jp/