新世代指揮者の才気が光る古典と新古典
シャープでスマートな指揮姿と、若きサイモン・ラトルを連想させるヘアスタイル、オペラを含む古典から現代までの幅広いレパートリー、同じ年(1983年生まれ)のロビン・ティチアーティと共に創設したオーロラ管弦楽団(室内オケ)での活躍、そして2018シーズンからはハーグ・レジデンティ管弦楽団の首席指揮者に。常に若い才能へ目と耳を配っているイギリスの音楽界にあって、もっとも注目される一人が、東京都交響楽団の2月定期演奏会Cシリーズに登場するニコラス・コロンだ。
まだ日本ではノーマークに近いのだろうが、イギリス国内では若い世代の作曲家たちからも信頼されて指揮を任され、欧米各地のオーケストラや歌劇場に客演している、要注目のヤング・マエストロである。30代中盤という充実期を迎えている彼の存在は、熱心な日本の音楽ファンにもっと知られていい。プログラムは、その豊かな音楽性を発揮するのに適しているストラヴィンスキーのバレエ組曲「プルチネルラ」と「火の鳥」。さらには1992年生まれの俊才ピアニストであり、来日のたびにファンを増やしているキット・アームストロングが、明るく爽快でスポーティな印象さえ感じてしまうハイドンのニ長調協奏曲を演奏する。
若い世代の二人による共演も楽しみだが、多彩な音楽へと対応する都響のフレキシブルな演奏によって、幸福な気分を味わえるコンサートになるであろうことは間違いない。さあ、発見する愉しみを胸に東京芸術劇場へ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2019年2月号より)
第873回 定期演奏会Cシリーズ
2019.2/2(土)14:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp/