大友直人(指揮) 東京交響楽団

音楽のもつ奥深いパワーを感じる

大友直人ⒸRowland Kirishima

大友直人ⒸRowland Kirishima

ホールの中がゴルゴタの丘となり、聴き手はキリストの最後を体験するかのようなコンサートの前半。そして音楽が描き出す神秘的な世界へと誘われる後半。9月28日・29日にサントリーホールとミューザ川崎で行われる東京交響楽団の定期演奏会は、音楽のもつ奥深いパワーをじっくりと味わう時間となるだろう。
次々に発表してきた作品が常に注目され、聴き手に強い衝撃を与えるジェームズ・マクミランの「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」は、映画を観ているように7つの場面が迫ってくる問題作。ハイドンらが題材にし、J.S.バッハの「マタイ受難曲」などでも描かれてきたキリストの処刑を、歌と弦楽で切々と訴えかけてくる音楽だ。荒涼とした中で歌われる聖歌風のメロディなどを経て、神へ自らの魂を委ねた最終曲へと至る約45分のドラマは、深い感動を約束してくれるだろう。この曲を日本初演(1998年)した顔ぶれによる再演だけに、渾身の演奏が期待できる。
後半に演奏されるホルストの「惑星」は、言うまでもない名作であり、イギリス音楽が手の内に入った大友&東響の独壇場。ホールを揺るがすパワフルな音から、繊細な弱音までダイナミック・レンジの幅が広い作品だが、生で聴いてこそ音圧や語り口などがよくわかるはず。また、4管編成をベースとした作品だからこそ、若い世代の楽員が増えている現在の東響の底力がわかるのは間違いないだろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2013年8月号から)

第613回定期演奏会 ★9月28日(土)・サントリーホール
第42回川崎定期演奏会 ★9月29日(日)・ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511 http://tso.jp

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