現代に息づくシュトラウス・ファミリーのDNA
新年のクラシック・ファンの大きな楽しみは、ワルツやポルカ、オペレッタの名曲が華やかに彩るウィーンの音楽だ。毎年国内外のさまざまなアーティストたちがウィーンの香りを運んでくれる。本場ウィーンからやってくるオーケストラもあとをたたないが、その大本命のひとつが、ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団のメンバーらが集って1994年に結成されたウィーン・サロン・オーケストラであるのは間違いない。
彼らの本拠は、ウィーン市立公園内にある「クアサロン」。世界中からウィーンを訪れる人々に、本物のウィーン音楽を、本場の雰囲気で提供しようというコンセプトを活動の基盤にしている。そのエンタテインメントに振り切った姿勢や、音楽芸術監督でコンサートマスターのウド・ツヴェルファーが弾き振りする伝統のスタイルは、まさに19世紀のシュトラウス ・ファミリーのDNAだ。なにより、ウィーン音楽だけに特化して年間300回を超えるコンサートを開催しているのだから、その洗練ぶりには年季が入っている。
気軽に楽しめるワルツやポルカはもちろん、オペラ歌手やバレエダンサーも出演する。そして、モーツァルト演奏の第一人者・久元祐子を独奏に迎えて、モーツァルトのピアノ協奏曲第26番「戴冠式」も聴かせてくれるのだから、本格好みの耳の肥えたファンも大いに満足できるはず。2019年の成人の日は東京オペラシティで「ウィーン」に浸ろう。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年12月号より)
2019.1/14(月・祝)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:プロ アルテ ムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.jp/
※ウィーン・サロン・オーケストラの全国ツアーの日程は上記ウェブサイトでご確認ください。