シューベルト後期作品の頂に挑む最終章
2006年に結成され、08年にはミュンヘン国際音楽コンクールにて第3位入賞を果たして一躍世界的な注目を集めたウェールズ弦楽四重奏団。数々の演奏会、音楽祭への出演など、多彩な演奏活動を展開しながら、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全曲録音に取り組んでおり、その演奏も非常に高く評価されている。メンバー全員が日本を代表するオーケストラに所属しており、各々の実力の高さとアンサンブル力は折り紙付きの彼らは、16年より第一生命ホールでシューベルトの後期作品に取り組むシリーズを開始しており、今回で遂に最終回となる。核となる曲はシューベルトの弦楽四重奏曲第15番。
「オーケストラのようなダイナミックさがある」と同時に、「様々な節目で演奏してきた」という大切な作品であり、フィナーレを飾るにふさわしい。またこのシューベルト・シリーズで特徴的なのが、シューベルトの作品と絶妙にリンクするウィーンの様々な作品が並ぶ点にある。今回はモーツァルトの弦楽四重奏曲第15番とウェーベルンの「6つのバガテル」を選曲。「同時に演奏するプログラムにもストーリーを感じてほしい」ということで、前回(17年)のプログラムとリンクするように選曲されている。「僕たちのやりたいことを助けてくれるホール」だという第一生命ホールでのシューベルト・シリーズ集大成。体力、構築力、表現力が必須な難曲揃いだが、いまの彼らの最高の演奏で聴かせてくれるに違いない。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2018年11月号より)
2018.11/24(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
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