新国立劇場 2018/19シーズンオペラ 開幕公演 モーツァルト《魔笛》(新制作)

大野和士新体制のスタートを告げる傑作舞台

La Flûte enchantée (Die Zauberflöte) by W.A.Mozart
C) Elisabeth Carecchio – Festival d’Aix-en-Provence 2009
 新国立劇場は、2018/19シーズンから大野和士がオペラ芸術監督に就任。「レパートリーの拡充」をはじめとする「5つの柱」を掲げた大野新監督は、新制作を従来の3作から4作へと拡大。その最初の作品に選ばれたのが、ウィリアム・ケントリッジ演出の《魔笛》である。
 このプロダクションは、大野が音楽監督を務めていたベルギー王立モネ劇場で2005年に初演、その後ミラノ・スカラ座やエクサンプロヴァンス音楽祭など世界中で上演され大好評を博しているヒット作。ケントリッジはドローイングや短編映像のジャンルで活躍する現代美術家であり、近年はオペラ演出でも高い評価を得ている。大野新監督とケントリッジはリヨン歌劇場の『鼻』(METでも上演された話題作)で共演の経験もあり、新監督が掲げる新国立劇場の新たな柱のひとつである「旬の演出家の招聘」が実現したかたちだ。木炭とパステルで描いた絵をコマ撮りしてアニメーション化、それをプロジェクションに映し出す手法で、幻想的な《魔笛》の世界を描き出す。
 今回の指揮は、スカラ座でもこのオペラを振っているローラント・ベーア。管弦楽は東京フィル。キャストには国内外から実力派歌手が集結する。スカラ座でのケントリッジ演出でタミーノを歌ったスティーヴ・ダヴィスリム、パパゲーノを歌う期待の新星アンドレ・シュエンは共に新国立劇場初登場。パミーナは日本を代表するソプラノである林正子、夜の女王は新国でもこの役を歌っている安井陽子が演じる。そのほか、日本人歌手が多数起用されているのも新体制を印象づける。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2018年10月号より)

2018.10/3(水)〜10/14(日) 新国立劇場オペラパレス
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/
※公演情報の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。