カナダ発! 熟練のクァルテットの妙技に触れる
1988年結成のアルトゥール・レブランク弦楽四重奏団が、30周年の今年、来日公演を行う。20世紀カナダ音楽界に大きな功績を残したヴァイオリニストの名を冠した同団は、カナダの代表的な四重奏団として国際的な活動を繰り広げている。中心メンバーとして活躍しているヴァイオリンの小林響は、14歳でイスラエルに留学、ベルリン芸術大学を経てからトロント王立音楽院を首席で卒業し、92年より同団に招かれた名手だ。
東京公演での演目は、カナダの作曲家オスカル・モラヴェッツの第5番「W.A.モーツァルトへの礼賛」(1991)が稀少で、結成時期の母国の作品でその多彩な実力を披露する。その前後には、ベートーヴェンの第11番「セリオーソ」、フランクのピアノ五重奏曲という、ふたつのヘ短調作品で峻厳かつ緊密な世界を聴かせる。ピアノは77年ロン=ティボー国際コンクール第2位、昨年東京藝術大学音楽学部教授を退官した後も積極的に演奏活動を行う、植田克己。こだわりのプログラムで、名人たちによる最高級の室内楽を味わえる公演になるだろう。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年9月号より)
2018.10/20(土)14:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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