ドビュッシー没後100年記念 小川典子ピアノ・リサイタル

オール・ドビュッシー・プロは私にとっても新鮮

C)武藤 章
 没後100年には、ふさわしい音楽家の演奏で新たな感動を。スウェーデンのBISレーベルへ全6枚に及ぶピアノ曲全集を録音している小川典子のドビュッシーは、すでに“ブランド”となりつつある。その演奏は「ドビュッシー=印象派の作曲家」という微妙な認識に待ったをかけ、響きを構成する絹糸のような音のラインを高解像度のモニターで見るような発見があるのだ。
 小川にとっては日本におけるホームグラウンドといえ、響きを熟知したミューザ川崎シンフォニーホールで行われるコンサートは、意外にも「オール・ドビュッシーのプロは私にとっても新鮮」と語るほどの貴重なひととき。しかも“ドビュッシー名曲ベスト”風の選曲ではなく、「版画」、全2集の「映像」、「前奏曲集第1集」と続き、「喜びの島」でフィナーレを迎えるというがっつり本気のラインナップだ。小川ファンおよびドビュッシー・ファンは必聴。鮮烈な響きを体験してほしい。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2018年9月号より)

2018.9/29(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 
http://www.kawasaki-sym-hall.jp/