安達朋博 ピアノリサイタル

日本デビュー11年目、ブラッシュアップされた演奏に期待大!


 日本クロアチア音楽協会を起ち上げ自ら代表を務めるなど、クロアチアの音楽作品の普及と紹介を背負って活動するピアニスト安達朋博。昨年の日本デビュー10周年を記念したサントリーホールでのリサイタルも成功だった。この9月、恒例の杉並公会堂での演奏会を開く。多岐にわたる彼の活発な活動のなかで、「自分に課題を課し、自分自身の発展のため」と位置づける里程標が、毎年のこのコンサート。「この数年間は、テクニックを改造したり、プールで体幹を鍛えたり、ほかのジャンルのものも聴いたりしてきましたが、自分なりに取り組んできたことを生かして、久しぶりに弾く曲でまた新しい自分磨きをしたいと思っています」と語る。
 7月に閉幕したFIFAワールドカップではクロアチアが大躍進。見事準優勝を果たした際には彼のもとにも多くの祝福メッセージが届いたそう。それだけ彼の活動にクロアチア愛が浸透している証左だが、もちろんクロアチア音楽だけを演奏しているわけではない。同国の女性作曲家ドラ・ペヤチェヴィッチの2曲のピアノ・ソナタを毎年交互に弾くのは恒例で、今回は第1番。しかし他は、これまでサロンでしか弾いたことがないというモンポウの珍しい「ショパンの主題による変奏曲」、そしてショパンの「幻想ポロネーズ」とシューマンの「フモレスケ」という多彩なプログラム。「作品の内側にあるものにまずは自分自身が共感し、共鳴する音を目指して、皆様と良い時間を共有したい」という入魂の選曲を聴こう。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年9月号より)

2018.9/25(火)19:00 杉並公会堂
問:日本クロアチア音楽協会03-6869-5641 
http://www.jcms-tokyo.com/