ギター音楽愛好家の間では既にその逸材ぶりが轟いている徳永真一郎。福田進一プロデュースによる待望のデビューアルバムが登場。その凝ったプログラミングからしてありきたりなアルバムとは違った気概を感じさせるが、何より演奏が秀逸の極み。1曲目のR.S.デ・ラ・マーサの「サパテアード」での個々の音の粒立ちの見事さと歌い回しの絶妙なセンス、F.ド・フォッサにおける多彩な音色を駆使した弾き分け。淡いペーソスを漂わせたR.ディアンスも勿論素敵だが、アルバムタイトルのミュライユが凄い。ギター1本で演奏されているとは思えぬ複層的な音響世界。これは必聴だ。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2018年9月号より)
【information】
CD『テリュール/徳永真一郎』
R.S.デ・ラ・マーサ:サパテアード、ペテネーラ、ロンデーニャ/E.S.デ・ラ・マーサ:暁の鐘/F.ド・フォッサ:ファンタジー第1番/A.ホセ:ソナタ/R.ディアンス:サウダージ第2番/F.クープラン:神秘的なバリケード/T.ミュライユ:テリュール
徳永真一郎(ギター)
マイスター・ミュージック
MM-4038 ¥3000+税