今年1月のライヴ録音。公演では前半にショパンの協奏曲2曲が演奏されており、その後という流れの効果もあってか、下野竜也指揮新日本フィルとのアンサンブルは、自由な勢いの中でぴたりと重なっている。横山らしい精密かつクリアな音で築き上げられた「パガニーニの主題による狂詩曲」と、濃厚な歌で存分に聴かせるピアノ協奏曲第2番。奇を衒わない正統派のアプローチ、あるべきところに音が収まっている心地よさの中、重く澄んだ音の力で耳をひきつける。アンコールで演奏された横山の編曲によるヴォカリーズでは、ダークカラーの美しいヴェールで飾られたかのような音楽が流れる。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2018年9月号より)
【information】
SACD『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 他/横山幸雄』
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲、ピアノ協奏曲第2番/横山幸雄:オマージュ・ア・ラフマニノフ〜ヴォカリーズ
横山幸雄(ピアノ)
下野竜也(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
収録:2018年1月、横浜みなとみらいホール(ライヴ)
アールアンフィニ(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)
MECO-1049 ¥3000+税