マット・ハイモヴィッツ(チェロ) & 児玉麻里(ピアノ)

円熟の域に達した名手の至芸を体験

 1970年イスラエル生まれ、80年代にはドイツ・グラモフォンに録音を行うなど、チェロの天才少年として登場したマット・ハイモヴィッツ。そのデビューアルバムから約30年、常に世界の最先端を走り続けてきて、いまや経験豊かなベテランとして円熟期に入るハイモヴィッツが、パリを拠点にやはり世界の第一線で活躍するピアニスト児玉麻里との共演で、注目のリサイタルを行う。
 演目は、ベートーヴェンの変奏曲2作を前後半に配置し、それらに20世紀フランスのソナタ2作を対置、さらにハイモヴィッツ自身が編曲したラヴェル「カディッシュ(『2つのヘブライの歌』より)」が加わるという、出演者二人のルーツも絡めた、興味深い構成によるこだわりの名品集。児玉とのドビュッシーとプーランクのソナタは殊に聴きもので、知名度は高くないが洒脱で小粋なセンスとアンニュイな情感を併せもつプーランクの佳品をメインに据えたことでも、彼らの意欲と自信が伝わってくる。天才奏者の至芸を体験する一夜となる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年5月号より)

2018.6/8(金)19:00 トッパンホール
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