新時代のベートーヴェンを聴き込む
2015年にコンサートマスター矢部達哉を中心として結成された一風変わった名前の室内オーケストラ、トリトン晴れた海のオーケストラが、いよいよこの秋より「ベートーヴェン・チクルス」に挑む。
メンバーは在京オーケストラを中心に各地で活躍する日本の名手たち。晴海トリトンスクエアにある第一生命ホールを拠点として、これまでの定期演奏会ではモーツァルトの「3大交響曲」を中心としたプログラムが組まれてきた。そして、次なるターゲットはベートーヴェンの交響曲全曲。20年のベートーヴェン生誕250年に向けて、3年間にわたって全5回のシリーズが開催される。
まず18年は、第1回として10月に交響曲第1番および第3番「英雄」が演奏され、続いて12月に第2回として交響曲第2番と第5番「運命」が演奏される。以降、19年には第4番と第7番、および第6番「田園」と第8番、そして20年の東京オリンピック・パラリンピック・イヤーには「第九」が予定されている。
これまでと同様に、指揮者はいない。この「晴れオケ」では、まるで室内楽の延長のように、メンバーたちの自発的なコミュニケーションを通して、ひとつの音楽が作り出される。指揮者がいなくても、はっきりとした顔のある音楽が生み出されるのがこのオーケストラ。とりわけ初回の「英雄」は大きな聴きものとなりそうだ。新時代のベートーヴェンを体験できそうな予感。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年3月号より)
ベートーヴェン・チクルスⅠ 2018.10/6(土)14:00
ベートーヴェン・チクルスⅡ 2018.12/1(土)14:00
第一生命ホール
2公演セット券:2/27(火)
1回券:4/24(火)発売
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
http://www.triton-arts.net/